
平屋はシンプルで暮らしやすい家として人気ですが、いざ計画を進めると「思ったより費用が高いな」と感じる人も少なくありません。
実は、平屋の建築費には“削っても問題ない部分”と“削ると後悔する部分”があり、その見極めが大変重要です。
本記事では、平屋の費用構造を整理しながら、無理のない範囲でコストダウンできるポイントを解説します。ローコストで理想の平屋づくりを目指す方は、ぜひ参考にしてください。
平屋の費用がどう決まるのか
費用を効率的に削減するには、まず家づくりにかかる費用の全体像を理解し、どの項目が調整可能なのかを把握することが重要です。
平屋を建てる際には大きく分けて2つ、本体工事費と付帯工事費・諸費用がかかります。
本体工事費(建物価格)
家の価格を決める大部分が、この「本体工事費」です。一般的には 坪単価 × 延床面積 で考えられます。
平屋は2階建てと比べて構造がシンプルな反面、
- 基礎面積が広くなる
- 屋根面積も大きくなる
という特徴があり、1坪あたりの単価は同等でも「総額は高く見えやすい」という傾向があります。
ただし、階段や2階部分の構造が不要になるため、設計の工夫次第で費用を抑える余地が残っています。
平屋の坪単価については、以下の記事を参考にしてください。
「平屋は坪単価でも本当にお得か?を解説|ローコスト平屋住宅(専門店)のレスモア」
付帯工事費・諸費用
建物とは別に、次のような「必須の工事・費用」も発生します。
- 外構工事
- 地盤改良
- 給排水工事
- 各種申請費
- 引っ越し費用、火災保険などの諸費用
特に平屋は建物の広さに比例して外構や給排水の位置取りが影響しやすいため、計画段階から意識しておきたい部分です。
付帯工事費や諸費用は、土地の条件や選択するローンによって変動します。
なお、平屋の建築費用の相場や内訳、ローコストを実現するためのポイントなどについては以下の記事で解説しています。
「平屋の価格はどうやって決まる?|ローコスト平屋住宅専門店のレスモア」
ここは削っても大丈夫!ムダを省きやすい平屋の費用項目
平屋は構造がシンプルな分、費用を調整しやすいポイントがあります。ここでは後悔しにくく、合理的にコストダウンできる項目を解説します。
外壁・屋根の形状にかかる費用
家の形をシンプルにすることで、材料費と施工手間を大幅に削減可能です。
たとえばL字やコの字、複雑な多角形など、家の形に凹凸が多いと外壁の角が増えます。角が多いほど材料のカットや接合の手間が増え、それに伴って工事費用が上昇します。
そのため、最もコスト効率が良いのは、外壁の総延長が最小限で済む「正方形」や「シンプルな長方形」です。形状をシンプルにすれば職人の作業効率が上がり、工期短縮にもつながるため、トータルコストを大きく削減できます。
開口部にかかる費用
窓の数や種類を見直すことは、大きなコストカットにつながります。
窓は数が多くなるほど、また、特殊なサイズや開閉機能を持つほど高価になります。全ての窓をハイスペックなものにする必要はありません。日当たりの強い場所だけを高断熱仕様にし、その他の窓は標準的な仕様にすることで、コストを抑えつつ快適性を維持できます。
また、開閉できないFIX窓(はめ殺し窓)は、通常の窓よりも安価で気密性も高い傾向があります。採光が目的で換気が不要な場所には、積極的にFIX窓を活用しましょう。
庭への出入りに使う大きな掃き出し窓は高価です。数を最小限にする、または通常の腰窓に切り替えるだけで、数万円単位でのコストが調整できます。
給排水配管にかかる費用
平屋だからこそ削減効果が高いのが、給排水配管の費用です。
キッチン、浴室、トイレなどの水回りを、間取りの中で近くに集約しましょう。給排水管の配管ルートが短くなり、材料費と工事費が抑えられます。
また、水回り集中は工事費の削減だけでなく、家事動線の効率化にもつながり、生活の質を向上させます。平屋はワンフロアであるため、この配管集中による削減効果を設計段階で最大化しやすいのが特徴です。
住宅設備の仕様による費用
システムキッチンやユニットバスは、選ぶグレードによって価格差が非常に大きくなります。
標準仕様からグレードアップする際の費用は、性能よりも「快適性」「意匠性」「ブランド」に支払う部分が多くなります。
たとえば、見た目は変わらないけれど高価な特殊シンク、多機能なレンジフード、タッチレス水栓など、必須ではないキッチンオプションは予算確保のために見送ることを検討しましょう。見た目の美しさと機能性のバランスを意識し、本当に必要な機能のみに絞ることが大切です。
外構にかかる費用
外構は予算オーバーの原因になりやすい項目です。しかし、駐車場やアプローチを必要最小限の舗装にする・フェンスは必要な部分だけ設置する・花壇・駐車場周りなど DIYできる部分を後から仕上げる、などの方法で大きく費用を調整できます。
外構は後からでも手を入れられるため、入居時点では最低限にしておくことも検討してみましょう。
【平屋】後悔しやすい費用削減ポイント

平屋は工夫次第で費用を抑えられますが、削り方を間違えると「もっとしっかり投資すべきだった」と後悔しやすい部分もあります。
ここでは、削らない方が良い代表的なポイントと、その理由を具体的に説明します。
断熱性能を下げると光熱費が跳ね上がる
平屋は構造上、断熱性能を下げるとすぐに後悔につながります。
平屋は2階建てに比べ、屋根と天井が占める面積の割合が大きくなりますが、屋根は夏場の直射日光による熱や冬場の冷気の影響を最も受けやすい部分です。
断熱性能を落とすと、特に夏場は屋根からの熱の侵入を防げず、冷房効率が悪化します。初期費用を少し削ったために、何十年にもわたり光熱費が高額になってしまうのです。断熱性能だけは将来への投資と考えて、妥協しないことをおすすめします。
耐震性能を落とすとメンテナンス費が高くつく
建物の「強さ」に関わるコスト削減は、家の寿命と資産価値に直結します。
構造体に関わるコストを削りすぎると、大地震などで建物にひび割れや歪みが生じやすくなり、大規模な修繕費が発生する可能性があります。
特に平屋は重い屋根をしっかりと支える必要があるため、基礎や耐震金物は家の安全を守る生命線と考え、削らないようにしましょう。
収納を減らしすぎると後から家具費用が膨らむ
平屋は収納計画が難しいからこそ、慎重に検討しましょう。
平屋は2階建てのように階段下や屋根裏といったデッドスペースを利用した収納が作りにくいため、計画的に収納スペースを確保しなければなりません。
既製品の収納家具の購入費用は意外と高額になるうえに、家具は居住スペースを圧迫し、動線を悪くします。壁面収納やパントリーなど、造り付けの収納を確保する方が、トータルで見てコスト効率が良くなると考えられます。
平屋購入費用の中で削減可能な費用を調査のまとめ
平屋の費用削減は、単に安いものを選ぶことではなく、「どこにお金をかけ、どこを合理的に削るか」というメリハリが最も重要です。
平屋の特性を活かした「形状のシンプル化」や「水回りの集約」は、ローコスト化の大きな鍵となります。しかし、断熱性や耐震性など、将来の安心と快適性に関わる部分への投資は妥協してはいけません。
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